板碑(いたひ、いたび)

1. 板碑とは

板碑は石造供養塔婆の一種です。

石造供養塔婆には、五輪塔、宝篋印塔、笠塔婆、板碑などがあります。

板碑は最も簡略な形態の石造供養塔婆です。

日本で最古の板碑は嘉禄三年(1227)のものです。

武蔵型板碑は鎌倉時代から南北朝時代にかけてピークがありました。

高座郡寒川町大蔵板碑

2. 寒川町の板碑

寒川町内に板碑は22基(完全なもの6基、残欠16基)確認されています。

写真は寒川町大蔵の板碑です。

残っているのは、板碑の一部(中間部の左側部分)で、郭線、花瓶と銘文があり、「貞和二年」(1346年 南北朝時代)の文字が読み取れます。武蔵型板碑です。

(参考:1338年 足利尊氏 征夷大将軍に)

3. 武蔵型板碑の形態

頭部を三角形に、その下に二条の切り込みを入れて、その二条線以下の成形された表面の上半部に梵字や漢字、あるいは画像により本尊をあらわし、下半部には造立の趣旨や年月日を主体とした銘文、または真言や偈(げ)を刻みます。

[出典]

・「寒川町史 11 別編 美術工芸」 平成4年11月 編集・発行 寒川町

・「石仏研究ハンドブック」 昭和60年6月 庚申懇話会 編 雄山閣出版 発行

・「日本石仏事典」 昭和61年6月 庚申懇話会 編 雄山閣出版 発行

・「板碑」 昭和57年3月 埼玉県立博物館 編集発行